受動喫煙対策 飲食店と医学界が激しい攻防

福音と医療に関わる社会情勢や科学的知見

兵庫県の受動喫煙対策を巡って、業界団体と医療関係者の間で激しい攻防が繰り広げられている。兵庫県は全国でもいち早く規制条例を制定した“先進県”。医療関係者が「より厳しい規制を」と主張するのに対し、飲食店などは「売り上げに影響する」と反発を強めている。2020年の東京五輪に向けて国を挙げた受動喫煙対策が求められる中、条例施行5年で見直しのタイミングを迎えた兵庫の姿勢が問われている。

 受動喫煙対策を巡っては、政府が今年3月、初の罰則付きの対策を盛り込んだ健康増進法改正案を国会提出。東京都も4月に都内の8割以上の飲食店を原則禁煙とする条例骨子案を発表し、賛否の議論が盛んになっている。

条例で受動喫煙を独自に規制している都道府県は全国に3県のみ。兵庫県は、全国2例目の条例を12年に制定、13年に施行した。18年度の見直しに向け、昨年から有識者らでつくる検討委員会が議論している。

最大の焦点は、規制の「対象外」となる線引き。現在の県条例では小規模店舗を「(個室を除く)客室面積100平方メートル以下」と規定し、喫煙店と明示すればたばこを吸うことができる。しかし、この基準だと県内に約3万店ある飲食店のうち8~9割が喫煙可能といい、規制強化の有無が見直しの最大のポイントとなっている。

「対象外」の小規模店を巡っては、国の改正法案でも自民党と厚生労働省が激しく綱引き。「客席面積100平方メートル以下」に落ち着いた経緯がある。

神戸・三宮でバーを経営する男性(39)は「今は完全禁煙できる実態ではない」と話す。店内は50平方メートル程度で「お酒とセットでたばこや葉巻を楽しむ人も多い。分煙すら難しい」と規制強化に懐疑的だ。

こうした声を受け、県内の飲食店など約5千店が加盟する「兵庫県全料飲生活衛生同業組合連合会」は2月、県の規制は国と同水準にすべきとする要望書を提出した。

一方で、医療関係者らは受動喫煙の健康被害を強調。産業医科大学(北九州市)の大和浩教授は「分煙では受動喫煙対策として何の効果もないことが国際的に証明されている。対象外をなくしていく必要がある」と強く主張する。

県は現在、条例の影響を受ける団体や業者からの意見を募集している。11月ごろに最終報告書をまとめる方針で、県健康増進課は「広く意見を募りながら来年3月には条例改正を目指したい」としている。

【兵庫県受動喫煙防止条例】2012年に制定。官公庁や病院、学校は喫煙を全面禁止とし、百貨店やスーパー、客室面積100平方メートルを超える大規模飲食店には禁煙か分煙を義務付ける。客室面積100平方メートル以下の飲食店は、喫煙の可否を店頭にステッカーなどで掲示しなければならない。条例に違反し、改善命令に従わない悪質な施設管理者は30万円以下の罰金、禁煙などの対象施設で喫煙した人には2万円以下の過料。加熱式たばこも規制の対象となる。


ソース元 : https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201806/0011325003.shtml